Graphcelによる数値化

公開、 更新

お詫びと訂正

 当記事中の「グラフ範囲の設定」において、「別の画像を読み込ませても選択範囲が解除されることはありません。」との表記がありましたが、これは誤りです。誤った知識を提供いたしましたことを、お詫び申し上げます。

概要

 グラフの数値化ソフトGraphcelを使用した、ノッチ曲線の数値化について解説します。グラフの数値化を行う方法は曲線の自動トレースによるものと、手動で曲線上の座標を求めるものと大まかに分けて二種類の方法があります。

自動で数値化

 画像化されたグラフを数値出力する - Bve Deverloper's Wiki*で紹介されている方法と同じものです。

下準備

画像の回転・反転

 BVEで直接読み込み可能なデータを作成するためには、必ずX軸方向(横方向)に速度軸が設定されている必要があります。そのため、予め画像を回転・反転させることにより横方向が速度軸となるようにします。電流-引張力曲線はそのままBVEで使用することは無いため、特に必要が無ければ回転・反転させる必要はありません。

色調補正

 この後の曲線の区分け作業を楽にするため、色の白黒2諧調化を行います。GIMPの場合、メニューの「色(C)→しきい値(T)」からこの作業を行うことができます。

GIMPによる色の二階調化

ノッチ曲線の区分け

 自動でノッチ曲線をトレースして数値化するための下準備として、おのおのの曲線に個別の色を割り当てて色付けするか、各ノッチ曲線を取り出した複数の画像ファイルを作成する必要があります。

 107系の力行ノッチ曲線(速度-電流)だけを取り出して、各ノッチごとに色分けした画像を以下に掲載します(グラフ領域でトリミング済み)。

107系の力行ノッチ曲線(速度-電流)

Graphcelでの作業

画像の読み込み

 Graphcelにノッチ曲線の画像を読み込ませます。ドラッグ&ドロップで画像を読み込ませることが可能です。PNG形式の読み込みには対応していないことに注意してください。

グラフ範囲の設定

 グラフ領域で画像をトリミングしていない場合、グラフ上でドラッグして範囲選択することで、グラフ領域の指定を行います。微調整は選択領域の端をドラッグして行います。また、操作ミスで選択範囲が解除されてしまってもメニューの「編集(E)」→「元に戻す(U)」から直前の状態に復帰することも可能です。なお、別の画像を読み込ませても選択範囲が解除されることはありません。

数値化手法の設定

 左の設定項目の「グラフの種類」は、「線グラフのトレース」を選択しておきます。起動時にはこの設定になっているため、そのままでOKです。また、X軸とY軸の最小値・最大値と、X軸の分割数を設定します。X軸のサンプリング間隔は、1か2に設定しておくとよいでしょう。

Graphcelの設定(線グラフのトレース)

色指定によるグラフの抽出

 複数のグラフが同一画像上に存在する場合、数値化の前に単一の曲線を抜き出しておく必要があります。予め各曲線で色分けしておいた場合、メニューから「フィルタ(F)→色の選出(C)」を選択し、各曲線を抽出します。別の曲線を選択する際には、メニューから「編集(E)→元に戻す(U)」で抽出を行う前の状態に戻しておきます。

色の選出操作(Graphcel)

数値化と保存

 メニューから「数値化(D)→変換実行(E)」(もしくはアイコンの「数値化」)を選択し、グラフの数値化を実行します。問題なく数値化が終わった場合は、メニューの「ファイル(F)→データを保存(S)」よりcsv形式でデータを保存することができます。Excelがインストールされている場合は、Excelに直接データを出力することもできます。

Graphcelによる線グラフのトレースの実行結果

 なお、Graphcelから出力されるデータの書式は以下の通りとなっています。実際に使うデータは、1列目と2列目のみであり、3列目と4列目は使用しません。

ヘッダ 数値の意味
1 Data:X グラフ上の実X座標値
2 Data:Y グラフ上の実Y座標値
3 Source:X 元画像上のX座標[pixel]
4 Source:Y 元画像上のY座標[pixel]

 表計算ソフトで1列目と2列目のデータを順次まとめていけばノッチ曲線データは完成します。

手動で数値化

 手動でノッチ曲線上をクリックしていくことにより、曲線の座標データを取得します。得られた座標データをBVE用のノッチ曲線データとするにはデータを補間する必要があります。

 曲線あてはめを応用した補間法の紹介は、この後の記事にて行います。

下準備

 グラフの傾きの補正さえしっかり行っておけば十分です。

Graphcelでの作業

画像の読み込み・グラフ範囲の設定

 上記の自動での数値化時と同じです。

数値化手法の設定

 左の設定項目の「グラフの種類」は、「手動」を選択しておきます。また、X軸とY軸の最小値・最大値を設定します。分割数 / サンプリング間隔を設定する必要はありません。

Graphcelの設定(手動)

座標の取得

 曲線上をクリックすることで、クリックした場所のX座標・Y座標データが追加されていきます。間違った箇所をクリックするなどして生成された不要なデータを消したい場合は左の表の当該項目をクリックし、Deleteキーを押すことで消すことができます。「クリア」ボタンを押すとすべてのデータが消えます。これらの消去作業はいずれもやり直しがきかないので注意してください。

Graphcelによる手動座標取得結果

データ保存

 上記の自動での数値化時と同じです。