概要
WaveMasterはフーリエ変換を応用した、音声の特定の周波数成分を直接編集できるソフトです。VVVF車のモータ音をリアルに再現するためには、このソフトを使いこなす必要があります。また、強力なノイズ取りソフトとして利用することもできます。
このページでは、WaveMasterの機能のうち、BVEのアドオンデータの製作上で使用頻度の高いものについて集中的に解説します。そのため、すべての機能の使い方の解説は行いません。WaveMasterのヘルプと併せてご覧ください。
主要アイコンの説明
繰り返しになりますが、BVEアドオン製作上で使用度が低いと思われる部分の解説は省略しています。
ファイル入出力、設定
- 開く
- 音声ファイルを開きます。
- 保存
- 音声ファイルを保存します。
- 再生
- 選択された部分の波形ファイルを再生します。
- 設定
- 各種設定を行います。
- 終了
- プログラムを終了します。
逆FFT変換とFFT変換
上のアイコンはFFTデータを波形データへと「逆」FFT変換します。FFTデータに対して行った加工は、逆FFTを行って音声波形データに変換するまで耳で聞いて加工結果を確認することができません。選択領域が存在する場合、選択された時間領域にのみ変換が行われます。
下のアイコンは現在の波形データをFFT変換します。逆FFT変換の操作が行われない限り波形データは不変なため、この操作はFFTデータに対する誤編集の取り消し時にも使うことが可能です。
FFTデータ表示モード
FFTデータの表示モードを変更するアイコンです。
- 「r」「log」「col」の三つが表示されているのがデフォルトの表示モードです。
-
「LOG」アイコンはFFTデータの数値の大きさを対数表示するか否かを切り替えます。対数を使わない場合、コントラストがはっきりと出る傾向がありますが、数値の小さい部分が見にくくなります。対数表示を使うか否かはお好みで使い分けるとよいでしょう。
-
「COL」アイコンはFFTデータ表示のモノクロ・カラーを切り替えます。カラーのほうが見やすいので、あまり変更する必要は無いです。
- 「θ」「∂t」アイコンを扱うと、周波数によって色が変わってFFT画像が表示されます。下の画像は良くない例です。
- SIVの音など周波数が完全に一定な音に対して「θ」「∂t」アイコンを扱うと、綺麗に特定の周波数成分の色が分かれてFFT表示に現れます。ただし、周波数ピークがやや分かりづらくなるという欠点もあります。
FFTデータ表示の明るさ調整
FFTデータの画像表示の明るさ調整を行います。↑アイコンで明るくなり、↓アイコンで暗くなります。中央の●アイコンは任意の規定の明るさに戻すときに扱います。
FFTデータ表示の拡大縮小・移動
これらのアイコンはFFTデータの画像表示のスケールの変更や、表示位置の移動時に使用します。
FFTデータを1ドットに対して1情報のスケールで表示します。使用頻度の高いアイコンです。
FFTデータの表示スケールを2倍に拡大もしくは1/2に縮小します。
FFTデータの表示領域を移動します。表示領域の移動は、ドラッグして領域を選択しながらFFTデータ表示領域外にマウスカーソルを置くことでも行えます。
FFTサイズの設定
設定→FFTタブから、FFTデータの解像度を設定することができます。 FFTデータの時間方向の解像度と周波数方向の解像度はトレードオフの関係にあるため、サイズの数値を小さくすると時間方向の解像度は高くなるものの周波数方向の解像度は荒くなり、サイズの数値を大きくするとその逆になります。以下の3つの図は同じ音声波形ファイルに対して、FFTサイズを変えて1ドット・1情報のスケールでFFTデータを表示したものです。
サイズが2048の場合
サイズが4096の場合
サイズが8192の場合
デフォルト値の1024は周波数成分の解像度が低く特定周波数成分の切り取りが難しくなるため、音声加工時にはFFTサイズはほぼ最大値の4096か8192を設定することを推奨します。
右クリックメニュー
任意の場所で右クリックすると現れるメニューの中で使用頻度の高い機能に絞って簡単に説明します。コマンドの数は多いですが、実際に編集で使うコマンドの数はそれほど多くはありません。
選択領域に対して行うコマンドは、選択領域を作成するだけでなく、選択領域の上で右クリックしないと実行できないので注意してください。
OK | |
---|---|
NG |
再生
- 選択した領域をモノラルノーマル再生
- 現在の選択領域のみを再生します。選択した領域にはどのような音の成分が含まれているかを確認するために使用します。環境によっては再生速度が二倍になってしまうなど、正常に再生されない場合があります。
- 今右クリックした位置の正弦波をモノラルノーマル再生
- 右クリックした位置の周波数の正弦波を再生します。FFTデータ上の任意の点で実際にはどのような音が鳴っているかを確認するために使用します。環境によってはエラーが起こり、再生できない場合があります。
選択
- 選択した時間領域を全て選択
- 選択範囲を周波数軸方向に目一杯拡大します。
- 選択した波数領域を全て選択
- 選択範囲を時間軸方向に目一杯拡大します。
- 選択した領域をステレオで選択
- ステレオファイルを編集している場合において、もう一方のチャンネルに対して、同じ時間・周波数領域で選択範囲を作成します。
エディット
- 選択した領域を無音
- 選択した時間と周波数領域のみを無音にします。編集時に一番使うコマンドです。「選択した時間領域を~」と間違えないように注意してください。
- 選択した領域を1/2倍
- 選択した時間と周波数領域の成分を半分にします。
- 選択した領域を2倍
- 選択した時間と周波数領域の成分を二倍にします。
表示
- 表示されている時間領域をすべて表示
- FFTデータの周波数方向の表示スケールを領域内に収まるように変更します。時間方向のスケールは変わりません。
- 1情報を1ドットで表示
- 薄緑の●アイコンをクリックしたときと同じ挙動です。
保存
- このFFTの画像を保存する
- 現在表示されているFFTデータ表示をスクリーンショットし、bmp形式で保存します。
小技
選択範囲の作成
モータ音の編集過程において、楽に選択範囲を作成する方法を紹介します。
選択範囲の作成
まずFFTデータ上でドラッグし。周波数軸(縦方向)のみを正確に、時間軸(横方向)は適当に選択します。
選択範囲を拡大
選択範囲内で右クリックし、「選択」→「選択した波数領域を全て選択」を選択します。すると選択範囲が時間軸方向に目一杯拡大されます。
もう一方のチャンネルの同じ領域を選択
ステレオ音声を編集している場合、さらに選択範囲内で右クリックして「選択」→「選択した領域をステレオで選択」の操作を行います。
この操作により、もう一方のチャンネルに同一の領域をもつ選択範囲が作成されます。